書き手:ここななパパ(防水工事の職人/2児の父)
「外壁塗装は10年ごと」という言葉を、一度は聞いたことがあると思います。この記事では、その10年が本当なのかを調べて、現場の職人として僕がどこから見るかを書きます。
この記事の結論
- 「10年ごと」は目安。年数より症状で判断する
- 雨漏りを防ぐ視点では、僕はまずシーリングの切れ方、次にチョーキングの順で見る(個人の経験則)
- 突然の「無料点検」には、その場で乗らない
調べた範囲では、この「シーリングが先」という順番は、一般的な説明とは違います。この記事では、調べた情報と僕の経験則を分けて書きます。
この記事は、家のメンテナンスの「当たり前」を疑って調べるシリーズ「その工事、本当に必要?」の第1回です。
「10年ごと」は、どこから来たのか
調べてみると、「10年」には3つの背景がありました。
- 新築の保証が10年:法律(品確法・瑕疵担保履行法)で、屋根や外壁など「雨水の浸入を防止する部分」には、引き渡しから10年の責任期間が決まっています(国土交通省の資料)。ハウスメーカーの保証も10年が多く、ここが節目として定着したと説明する業者が多いです
- 昔の主流の塗料の寿命が、8〜12年ほどだった:ウレタン系や初期のシリコン塗料です。築10年前後で防水性能が落ちる家が多かったため、「10年で塗り替え」が当たり前になりました
- 営業トークとして使いやすい:「そろそろ10年ですね」と言えば、話を始められます
ここに注意
10年の保証は「欠陥があったときの責任期間」です。「10年で塗り替えなければいけない」という決まりではありません(これは僕の解釈です)。
今の塗料は、10年より長持ちする
塗料は性能が上がっています。塗料ごとの耐用年数の目安は、次のとおりです。
| 塗料の種類 | 耐用年数の目安 |
|---|---|
| ウレタン | 8〜10年 |
| シリコン | 7〜15年 |
| ラジカル | 12〜15年 |
| フッ素 | 15〜20年 |
(サイトによって数字に幅があります)
ある塗装業者は、現実的な周期として13〜18年を示しています(フルモト塗創)。
ただし、カタログの年数は理想的な条件での数字です。実際は、次の3つで大きく変わります。
- 外壁材の種類
- 立地や日当たり(南面は劣化が早い)
- 施工の質(下地処理や、塗料を規定の量で塗っているか)
経験則①:まず見るのは「シーリングの切れ方」
僕の経験則(個人の見解です)
ここからは、僕の現場経験の話です。
前提として、僕の経験は、シーリングの上から、外壁と同じ塗料で塗装して仕上げるタイプの外壁(ALCなど)が中心です。サイディングのように、目地のシーリングが剥き出しになっているタイプでは、事情が少し変わるかもしれません。
なぜシーリングが先なのか
誰にとっても、一番避けたいのは雨漏りです。
その視点で見ると、外壁のシーリングがどこまで切れているかで判断するのがいいと思っています。ポイントは、切れが貫通しているのか、表面的な切れなのかです。
- 表面的な切れなら、すぐに雨漏りする可能性は低い
- ただ、数年以内には、雨漏りにつながると思います
シーリングは、なぜ切れるのか
外壁の材料は、ほとんどが伸び縮みを繰り返しています。温度が高いと柔らかくなって伸び、低いと硬くなって縮みます。その繰り返しで、くっついている部分同士が、引っ張られたり戻ったりします。
さらに、地震や台風も影響します。人が立っていても風で少し揺れるのと同じで、建物も風圧でわずかに動いています。
シーリングが切れるのは、こうした動きが原因だと思います(シーリングの耐用年数についてでも、紫外線、温度変化、雨、地震などの負荷が劣化の原因として挙げられています)。
貫通かどうかは、見た目では分かりにくい
貫通かどうかの見分け方(僕のやり方)
- 黒く影になっている部分に、細い差し金のようなものを差し込んで、どこまで入るかを見る
- シーリングが完全に反り上がっている場合は、剥離が進んでいて、貫通していることが多い印象
- 築年数の目安は、築10年ぐらいで、日当たりのいい南面に切れが見られることがある
正直に言うと、見た目だけで貫通しているかどうかを見分けるのは、かなり難しいです。
経験則②:次に「チョーキング」
2番目に見るのが、チョーキングです。外壁を触ると、チョークのような白い粉が手につく状態のことです。
チョーキングは、すぐに雨漏りが起こる状態ではありません。ここがポイントです。
ただ、塗膜はとても薄く、イメージとしては顔に化粧をするようなものです。外壁の伸び縮みのたびに、塗膜も引っ張られます。
一般的な説明では、チョーキングは、紫外線や雨風で塗膜の樹脂が分解され、中の顔料が粉になって表面に出てくる現象です(チョーキングのメカニズム)。塗膜が劣化してきたサインとして、見逃さないようにします。
なお、内見のチェックリストでは、外壁の劣化のサインとしてチョーキングを紹介しました。内見の段階ではそれで十分ですが、雨漏りを防ぐという視点で優先順位をつけるなら、シーリングが先だと考えています。
遅すぎると、どうなるか
シーリングが切れたまま放置すると、こうなります。

外壁の補修だけでは済まず、余計に費用がかかることがあります。
自宅の外壁工事の記事で書いた通り、うちの外壁は、ひび割れと浮きの補修(下地補修)だけで約25万円かかりました。塗装そのものより、塗装の前にかかる費用のほうが大きくなる、ということもあります。
「無料点検」には気をつけて
突然の「無料点検」に注意
「10年ですよ」という言葉を使う営業には、注意が必要です。
国民生活センターによると、訪問による屋根工事の点検商法の相談は、2022年度で2,885件と、2018年度の約3倍になっています。契約した人の8割以上が60歳以上です。
典型的な手口は、「近所で工事をしている」と突然訪ねてきて、「このままだと危ない」と不安をあおるものです。対処法はこの3つです(国民生活センター)。
- 突然訪ねてきた業者に、安易に点検させない
- その場で契約せず、十分に検討する
- 不安なときは「188」に相談する
見積もりをもらったら、確認したいこと
業者から塗り替えを提案されたら、次のことを聞いてみてください。
見積もりで聞くこと
- シーリングの状態を、どう調べたか(貫通しているのか、表面的なのか)
- シーリングは打ち替えか、増し打ちか(業者サイトでは、耐用年数は打ち替えが7〜15年前後、増し打ちが2〜5年とされています)
- 塗料のグレードの理由と、施工事例
- 下地の補修は、どこまで含まれているか
大事なのは、1社の話だけで決めないことです。業者選びの記事にも書きましたが、複数の業者の意見を聞くと、判断の精度が上がります。
よくある疑問
築10年になったら、すぐ塗り替えるべき?
10年はあくまで目安です。年数より、シーリングの切れやチョーキングなどの症状で判断します。
チョーキングが出たら、すぐ雨漏りしますか?
チョーキングは、すぐに雨漏りが起こる状態ではありません。塗膜が劣化してきたサインとして見て、シーリングの状態とあわせて判断します。
まとめ
まとめ
- 「10年ごと」は、新築の保証期間や、昔の塗料の寿命などから定着した目安。今の塗料は、もう少し長持ちする
- 年数より、症状で判断する
- 雨漏りを防ぐ視点では、僕はまずシーリングの切れ方(貫通か、表面か)、次にチョーキングの順で見る(個人の経験則です)
- 突然の「無料点検」には、すぐに乗らない
外壁やシーリングで気になることがあれば、コメントで教えてください。分かる範囲で答えます。
この記事の「経験則」は、筆者個人の現場での経験にもとづく見解です。建物の状態は一つひとつ違うので、実際の判断は、現地を見た専門業者に確認してください。

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