最初に結論
- 家を「作る側」のプロでも、”買う側”の知識がないと想定外の出費は防げませんでした。
- 5年間放置されていた中古の戸建て(1階を人に貸せる造り)を、正直に言えば「勢い8割」で購入。
- 建物の価格が土地込みで3,000万円台、そこから改修に700万円ほど。トータルでおよそ3,700万円。
- いま家賃収入は月10万円ほど。正直、想定していたより低いです。
- それでも1つだけ断言できるのは、「買う前に修繕箇所を見極められないと、後で大変なことになる」ということ。
この記事は、これから中古や空き家を買おうとしている人(とくに子育て世代)に向けて、僕が実際に踏んだ地雷を全部書き出したものです。
僕がどういう人間か
平日はハウスメーカーの現場で働く職人です。家がどう建っていて、どこが傷みやすいかは、人よりは分かっているつもりでした。
その僕が、自分の物件では見事に足をすくわれました。理由はシンプルで、「家を建てる知識」と「中古物件を買う知識」はまったくの別物だったからです。
買った物件のこと
- 木造・築25年ほどの中古戸建て
- 1階が複数の部屋に分かれていて、人に貸せる造り。2階が自分たちの住まい
- 5年ほど空き家として放置されていた
- 外壁にはツタがびっしり張り付き、外壁材は一部が浮き上がっていた
- 下水は通っておらず、汚水は「浄化槽」で処理する古いタイプ
写真で見ると「味がある古民家風」ですが、実際はそのままでは住めない状態でした。
なぜ「勢い8割」で買ったのか
きっかけは知り合いからの紹介でした。間取りが「1階を貸して、2階に住む」というイメージにぴったりで、頭の中で家賃収入の皮算用が始まってしまった。
妻はちょうど1人目が生まれたばかりのタイミング。「なぜ今なの」という不安は当然あって、いま思えば僕の事前の説明も足りていませんでした。ここは反省しているところです。
買ってから気づいた”想定外”
ここが一番伝えたいところです。内見のときには、僕の目でも気づけませんでした。知識としてなかったからです。
1. 動かない電気温水器の”処分”
各部屋に古い電気温水器が残されていました。全部動きません。問題は「どうやって処分するのか」。家電のように簡単には捨てられず、置き場所・運び出し・処分費まで含めて完全に想定外でした。
2. 浄化槽の撤去と、下水道の引き込み
「汚水は浄化槽」と聞いてはいましたが、その撤去にいくらかかるか、下水道を新たに引き込む工事がどれだけ大掛かりか、まったく分かっていませんでした。結果として、これが改修費のなかでもかなり大きな塊になりました。
3. 貯水槽のポンプが壊れていた
水を一度タンクに貯めてから各部屋に送る仕組みで、そのポンプが故障。買った時点では気づかず、水を使おうとして発覚しました。
プロでも見抜けなかった理由
正直に言うと、これらは「建築の知識」ではなく「古い賃貸物件の設備の知識」でした。現場で新しい家を建てている僕には、経験としてなかった領域です。
助けてくれたのは、知り合いの大家さん(不動産の先輩)でした。「それはこう処分する」「その工事はこの順番」と、一つずつ教えてもらいながら進めました。相談できる先輩がいなかったら、もっと高くついていたはずです。
やった改修の全リスト
半年かけて、ほぼフルリノベに近い工事をしました。
建物の外まわり
- ツタの撤去
- 外壁の修繕
- 屋根の塗装
- ベランダの塗膜防水
設備・インフラ
- 浄化槽の撤去
- 下水道の引き込み
- 貯水槽ポンプの入れ替え
- 浴室・トイレ・キッチンの入れ替え
- 照明をすべて交換
内装
- クロス全面張り替え
- 床(クッションフロア)新設
- 和室を洋室に変更
- 押入れの中段を撤去
- 畳の表替え
- ガラス交換・網戸の張り替え
- 巾木の塗装
自分でやった作業 / 業者に頼んだ作業
「職人なんだから全部自分でやったんでしょ?」とよく言われますが、違います。
- 友人と一緒にやった:屋根の塗装、クロス、床、室内の巾木塗装
- 業者に依頼:それ以外のほとんど(外壁、水道工事、水回りの入れ替えなど)
僕がやったのは、むしろ段取りと、業者の手配と、コスト管理でした。ここは職人の経験がそのまま役に立った部分です。どの工事を誰にどの順番で頼むと安く早く済むか、が分かるだけで結果はだいぶ変わります。
かかったお金
改修の総額はおよそ700万円。とくに高かったのは、
- 外壁の修繕
- 水道工事(下水の引き込み)
- 水回り(浴室・トイレ・キッチン)の入れ替え
の3つです。「見えない部分=インフラ系」ほど高い、というのが実感です。見た目のクロスや床は、実はそれほどでもありません。
かかった時間
工期は約半年。平日は仕事があるので、作業できるのは仕事終わりと土日だけ。小さい子どもがいる家で、休みのたびに現場へ行く生活でした。
正直に言うと、この半年は「全部きつかった」です。ラクだった作業は一つもありません。
いまどうなっているか
- 貸せる部屋は、いま7〜8割くらいが埋まっている状態
- 家賃収入は月10万円ほど
- 想定していた金額より低いです。買う前の皮算用が甘かった
それでも、毎月家賃が入ってくること自体は、やってよかったと思っています。ローンの負担感が、何もしない場合とはまったく違います。
これから中古・空き家を買う人へ:3つの確認ポイント
僕が「先に知っていれば」と思うことを3つに絞ります。
1. 設備・インフラの状態を、建物より先に確認する
浄化槽か下水か。給水の方式。給湯設備。残置物。これらは「直す」ではなく「撤去して入れ替える」ことが多く、金額が大きい。 内見では真っ先にここを見てください。
2. 「残置物の処分費」を最初から予算に入れる
前の持ち主が置いていったものは、あなたが処分することになります。家電・設備・家具、意外とバカになりません。
3. 相談できる”買う側の先輩”を見つける
僕は建築のプロでしたが、それでも大家さんの先輩に何度も助けられました。物件を「買って・貸す」経験がある人に、契約前に一度見てもらうだけで違います。
まとめ
家を作れることと、中古物件を賢く買えることは、別のスキルでした。
もしこの記事を、いままさに「勢いで買おうとしている人」が読んでいるなら——止めはしません。僕もそうでした。ただ、買う前に修繕箇所(=買った後にかかるお金)だけは、できる限り見極めてください。 そこを外すと、本当に大変なことになります。
同じような立場の人の役に立てば、この半年も少しは報われます。
「じゃあ次に買うときは何を見ればいいのか」を、職人目線でチェックリストにまとめました。よければあわせてどうぞ → 【職人が教える】中古住宅・空き家の内見チェックリスト
質問や「うちの場合はどう?」があればコメントで教えてください。分かる範囲で答えます。

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