最初に結論
内見で本当に見るべきなのは、「今の状態がきれいかどうか」ではありません。「直すのにいくらかかりそうか」です。
前回の記事で書いた通り、僕は家を建てるプロなのに、自分の物件では浄化槽の存在すら見抜けず、あとから何百万円も想定外の出費が出ました。この記事は、その反省をもとに「今の自分ならこう見る」という内見チェックリストです。
白状します。当時の僕はこうでした
内見には3回行きました。でも、正直に言うと——
- 道具は何も持って行きませんでした(笑)
- 傷んでいる箇所は見えていたけれど、「どう直すか」「いくらかかるか」のイメージが一切ありませんでした
- 浄化槽の存在は知らなかったので、そもそも見てすらいませんでした
「なんとなく悪くなさそう」で判断していたのが、当時の実力です。ここから紹介するのは、その失敗を経て学んだことです。
内見に持って行くといいもの
特別な道具はいりません。
- スマホ(水平器アプリで床や壁の傾きを簡易チェックできます)
- ライト
- メモ(気になった箇所とその場で写真を撮る)
- 可能なら、リフォーム経験のある知人や大家さんを1回でも同行させる(後述)
【外まわり】外壁・屋根・傾き
外壁
外壁がチョーキング(触ると白い粉が手につく状態)していないかを見てください。これは劣化のサインです。
外壁工事は面積にもよりますが、目安として100万円ほどはかかると見ておいたほうがいいです。さらに注意したいのが、「外壁の浮きを止める工事」は対応できる業者とできない業者がいるということ。大手の業者はリスクを避けてやりたがらない傾向があり、提案された工法によって200万円ほど見積もりに差が出たこともあります。1社だけで判断しないことが大事です。
屋根
屋根は内見中に登って確認するのは現実的ではありません。目安にしているのは、
- カラーベスト(スレート屋根)なら反り具合
- 前回の葺き替え・塗装がいつだったか
- 築年数と経過年数の掛け合わせ
この3つです。正直、屋根は最後まで難しい部分ですが、「いつ手を入れたか」を不動産屋や前所有者に聞くだけでも判断材料になります。
傾き
道具がなくても、立ったときの平衡感覚で意外と分かります。より確実にしたいなら、スマホの水平器アプリを床や柱にあててみてください。
【設備・インフラ】ここが一番の落とし穴でした
僕が一番痛い目を見た部分です。
- 上下水・電気・ガスのことは、仲介してくれている不動産屋に聞くとある程度分かります
- 引き込みがどこまで来ているかは、役所にある図面を見ると分かります
- 水漏れは、誰も使っていないのに水道メーターが動いていないかで確認できます
- 「これがあると後で高額になりやすい」設備は、電気温水器などの残置設備、風呂・トイレ・キッチンの故障、水道まわりの工事が必要なケースです
浄化槽や貯水槽といった「見えない設備」ほど、内見では見落とされがちで、あとから金額が跳ねます。「上下水はどうなっていますか」の一言を、内見の最初に聞くだけで変わります。
【室内】床・建具・雨漏り・シロアリ
- 床:歩いたときのフカフカ感がないか
- 建具:窓やドアの開け閉めで、建て付けの悪さ(傾き・不同沈下のサイン)に気づけます
- 雨漏り:天井などのシミを見る。可能なら雨の日にもう一度見に行く。ベランダ下の雨漏りが疑われる場合は、実際に水をまいて確認する方法もあります
- シロアリ:基礎まわりにできる「蟻道(ぎどう)」という土っぽい通路のような跡がないか見てください。僕もこれは最近教わったのですが、幸いあの家にはシロアリはいませんでした
【書類】不動産屋に聞いておきたいこと
書類まわりは素人には分かりにくい領域です。最低限、これだけは聞いてください。
- 再建築はできる物件か(再建築不可だと、将来的な選択肢が大きく制限されます)
- 境界(隣地との土地の境目)は確定しているか
- 引き込み(上下水・ガス)がどこまで来ているか(役所の図面で確認可能)
正直、僕自身も当時は境界について、あまり理解できていませんでした。分からないことは分からないまま流さず、その場で聞く・持ち帰って調べる、をやってください。
見た傷みを「総額」に変えるには
ここが一番難しいところです。外壁も屋根も設備も、「悪そう」までは誰でも分かります。問題は、それが「いくらになるか」です。
僕がたどり着いた結論は、経験豊富な大家さんや、ボロ家のリフォームが得意な業者に、内見か契約前の相談に同行してもらうことです。理由は、普通の(ボロ家に慣れていない)業者ほどリスクを避けて「手堅い直し方」を提案しがちで、それが結果的に費用を押し上げるからです。餅は餅屋、です。
これから内見する人へ、一番伝えたいこと
直すところは、少ないほうがいいです(笑)。これは間違いありません。
ただ、実際にフルリノベを経験して思うのは、どんなにボロくても、費用の差や直し方の差はあれど、「直せないもの」はほとんどないということです。1人の意見だけで諦めず、業者・大家さん・職人など、いろんな人に意見を聞いてみてください。その中で、思ったより安く・うまく解決する方法が見えてくることがあります。
まとめ
- 内見で見るのは「きれいかどうか」ではなく「直すのにいくらかかるか」
- 外壁・屋根・傾きは目視とスマホの水平器で、ある程度の目安がつく
- 設備・インフラは不動産屋への質問と役所の図面が武器になる
- 書類(再建築の可否・境界)は必ず確認する
- 費用感が分からないときは、経験者に同行してもらう
- 直せないものはほとんどない。諦めずにいろんな人に聞く
前回の記事で書いた「買ってから気づいた想定外」は、このチェックリストがあれば半分は防げたはずです。これから中古や空き家を検討している人の、内見1回分の役に立てば嬉しいです。
「うちの場合はどうですか?」という質問があれば、分かる範囲でコメントにお答えします。

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